これ以上ないほど空虚。『レス・ザン・ゼロ』

またせこせこ英語のブログを書いている。
気が向くとしばらくは毎日の様に書くけれど、
書く事が思い浮かばなければ何ヶ月も書かない、
そんな感じかな。
まぁ、完全にストップ、という事はないので
よかったら覗いてみてね。

そうそう、週末にブレット・イーストン・エリスの処女作ともいえる
『レス・ザン・ゼロ』を読んだ。
家に、『グラモラマ』という作品があって
こっちは数年前に読んだんだけど、
『アメリカン・サイコ』の原作者だけあって
ドラッグ、セックス、バイオレンス、現代ポピュラー文化が
欠かせないネタになっている。

この人の特徴は、
まるでドラッグでハイになっている時に書いたか、と思えるような
パンクチュエーションのない、長く、取りとめのない
起承転結もはっきりしない、支離滅裂とも言いかねないような独特の文章スタイル。
感情のない、何ともいえない空虚さの中に、悲しさと怒りみたいなものが見え隠れする。

『レス・ザン・ゼロ』は大学入学してまもなく書かれた為か、
思春期の不満というか社会への怒りが作品に多少表れている気がする。

高校卒業後、UCLAに入学したクレイは
冬休みに1ヶ月ふるさとへ帰ってくる。みんなに再会するために。
時はクリスマス。
元彼女のブレアは、みんなお互いに関わりあうのを怖がっている、
というような事を言う。
4ヶ月しか経っていないのに、「関わりあうのを怖がっている」というブレアの言葉が
妙に頭に残って離れない。

夜は、ビバリーヒルズにあるブレアの家で、昔の仲間とパーティー。
トレントはモデルに、親友のジュリアンは薬中になっていた。

たった4ヶ月の間に、余りにクレイを取り巻いていた環境は
変わってしまっていた。
親が金持ちで、それこそ言葉通り何でもやらせてくれる、
どこか冷めた家庭に育ったクレイの仲間たちは、
暇、金、退屈を持て余し、夢中になるものもないようだ。

麻薬なんて当然、みんなやっている。
セックスもみんなカジュアルにやっていて、
誰が誰と付き合っているというのもはっきりしない、
というか、どうでもいい事のようだ。
クレイも男女関係なく普通に一夜だけの関係を持ち、
無関心でクールな仲間と溶け込んでしまっているように見える。

映画版も見たけど、原作とは90%違っている。
薬中のジュリアンを演じたのは、若き日のロバート・ダウニー・ジュニア。
友達も、家族のサポートも失い、壊れる寸前のジュリアンを
悲しいほどリアルに演じている。
映画ではクレイとブレアはジュリアンを見捨てず、
借金と、麻薬地獄から救い出そうとするのだが、
原作では、クレイはジュリアンを救う事に見切りをつけるし、
ブレアからも去っていく。

5年生の頃、無邪気にサッカーボールを蹴っていたジュリアンの姿が
目に浮かぶ。
今や麻薬の為に借金地獄に陥り、
借金を返す為に、売春までするようになったジュリアンに
もう昔の純真な面影はない。
ジュリアンは売春からも麻薬からも足を洗う為に
クレイに金を貸してくれ、と頼むのだが、
本当の理由は言わない。
クレイは金を差し出す事にする。
ジュリアンが返してくれるとはおそらく思っていない。
ただ、真実がどこまでひどい物か見る為に
ジュリアンを追う。

ジュリアンはクレイに借りた金を返す為に、
最後のつもりで仕事を引き受ける。
自分が金持ちの男に体を売る所を
クレイに見せるというのが条件だった。
でも、現実にはジュリアンは足を突っ込みすぎて
もう引き返せなくなっていたのだ。
「こいつは俺の友達だ、お願いだからこいつを引きずり込まないでくれ、こいつに金を返してくれ。」
というジュリアンの切なる懇願も全く通用しない。
結局、ジュリアンは足を洗う事は出来ず、
クレイも金を取り戻せない。

モデルのトレントは
ドラッグディーラーのリップと一緒に
わずか12歳の少女をレイプする。
クレイも誘われるが、トラブルに巻き込まれるのを恐れ、
レイプを止めることも出来ない。
無力さを感じたまま、ドアを閉めて部屋を後にする。

全体に空虚感が漂うこの作品は
現代の浅い人間関係や社会に巣食う毒を
説明することなく、無感情な平坦な文章と
取り留めのない書き方で実に巧みに表現している。

・・・そして、1ヶ月は過ぎた。
ふるさとを経つ前日にブレアにあったクレイ。
お互いの気持ちにつながりはあったのは確か。
「愛した事は一度もない」というのは多分嘘。
そのクレイの言葉に「言ってくれてありがとう」というブレア。
きっちり別れるために必要だったのだろう。
「そばに居ても、居ないような感じだった」
「何も気にかけてない人を可哀想と思うのは辛いのよ」
「気にかけていることってあるの?何があなたを幸せにするの?」

「何しても、幸せを感じないんだ。」
「何も気にかけたくないんだ。心に掛けているともっと辛いから。心配事が増えるだけだから。気に掛けなければそんなに辛くない。」
そういうクレイを、ワタシも可哀想に思った。
クレイは気に掛けていないふりをして、ブレアと別れる。
過去と別れを告げる。

冬休みは終わった。

家で過ごす週末。

今週末は久しぶりにどこにも行かなかった。
土曜日は伸ばし伸ばしになっていた家の中の大掃除。
「もっと伸ばそうよ、やる気しないんだ。」
というあいつに「それもそうだね」
なんて言ったら
きっと永久に掃除はしないような気がして
金曜日から少しずつ埃落としを始めた。
残りの埃落とし、汚れ落としを終えた頃、
あいつがやっと腰を上げた。
慌しい午後だったけど
やり終えた充実感はやっぱり気持ちのいいもの。

そして今日はのーんびりぶらぶら。
日の当たるラウンジで
だらーっとしながらDVD見たり、本広げたり。
見たDVDはかなりつまんなかったけど。
『Reality Bites。』
最初は少し変わってて面白かったけど
後半はまるで少女マンガ読んでるような
陳腐なラブストーリーになってしまって、
最近見たどのDVDよりも最悪だった。

その後見たのは、『シン・レッド・ライン』
映像はすばらしかった。
批評が良かったので見たけれど、
映像以外は他の戦争映画と大して変わらず
メロドラマ色強。
勿論全然感動もなく、
最後まで見る前に気がついたらソファの上で寝ていた。

ちなみにワタシがお勧めする戦争映画は
ドイツ潜水艦映画の最高傑作、『Uボート』。
前置きしておくが、美しい映像や大げさな突撃シーンの一かけらもない。
若い女の子や、狭所恐怖症の人向けではない。

潜水艦という限られた空間。
電話もラジオもない退屈で息のつまる生活を送る男たち。
イギリス戦艦の探知機から聞こえてくる不気味なシグナル音。
それに続くものを、全員が息を呑んで待つ。
容赦ない攻撃に、頑丈さで知られたUボートも打撃を受ける。
激しく揺れる艦内。水も漏れ出す。発狂する者も出てくる。

そんな絶体絶命の瞬間を何度も切り抜ける中、
差別や壁が崩れ、絆が芽生えてくる。
演技とは思えない程のリアルさで
乗組員のパニック、恐怖。
それを現実のものとして体感出来る。
捨てかけた希望、再び見えてきた希望のかけら。
そして泡に消えた希望。

虚しく、残酷で、悲しい。
Profile
齢45になるベテランてんかん患者です。 お仕事はきちんとしながら オフはだらだらと生活してます。 仕事仲間には私が怠け者とはバレてません。 てんかん、っていう以外はまあ、普通。 つまんない冗談とかよく言ってます。

←お気に入りに追加♪


Author:ふぅみん:D
16歳の時にてんかん発病。
闘病歴24年。(な、長い!)
7年前、オーストラリアのメルボルンでソウルメイトと出会い、8ヶ月後に結婚。

性格:真面目な変人。オープンな性格。時々情緒不安定。
タイプ:エロオヤジ系。
煽てられると調子に乗る。

いつも、ありがとう。

折角ブログを覗きに来てくれる人が居るのに、
サボり癖のついている最近のワタシ。
だけど、結局戻ってくる。
どんなに長くサボっていても
その内にきっと必ず書きたくなるから。

ブログってそんなものなのかも知れない。
もう書き始めて何年になるんだろうか?

ブログと共に、
ワタシも歳をとり。
成長し。(?)
他の人のブログとつながる。

あ、あのヒト、どうしてるかな?
なんて、ワタシも覗きにいく。
毎日頑張って書いているヒト、
ぼちぼち頑張っているヒト、
さまざまだけど、
ああ、頑張っているんだな、って分かるだけで、
一日の終わりに、ワタシに元気をくれる。
ホントにありがとう。
そして、来てくれたヒト、ありがとう。

にほんブログ村 海外生活ブログ オーストラリア情報へにほんブログ村 病気ブログ てんかんへ
Latest journals
Latest comments
Latest trackbacks
Monthly archive
Category
ワタシの休憩場所。
Mail form

Name:
Mail address:
Subject:
Body:

Free area
Calendar
03 | 2012/04 | 05
Su Mo Tu We Th Fr Sa
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
Link

このブログをリンクに追加する

Search form
Friend request form

Want to be friends with this user.