遠い国のどこかで。


最近、カナダでイスラム教徒の父親が第二夫人と息子と計画に引きずり込んで娘3人と第一夫人を殺害した事件が今でも強い反響を呼んでいる。
娘を娼婦にたとえる父親は、娘達は汚れてしまい、家に恥をかかせたから殺したという。
長女がパレスチナ人と結婚した事も理由のひとつだ。
娼婦-と例えられた娘達は別に遊びまくっていた訳でもなく、最近の欧米の若者と比べたら大人しいいい娘に見える。だが、欧米人の様に肌を見せる格好をする、異性とも普通にフレンドリーに話すという事はイスラム女性の美徳ではないのかもしれない。

問題はそれを理由に自分の娘を殺すということ。
それを正しいという考え方。
娘達と妻が百回生まれ変わって戻ってきてもまた絶対に殺す。自分が死刑に処されても別に構わない。自分はすべき役割を果たした。尊厳をもって死ねる。そう堂々という父親。

狂っている。
そうワタシたちは思う。

神の教えにかなっている、
と彼らは考える。

全てのイスラム教徒が同じ考え方をするわけじゃない。
それでも、こういう事件を聞くと「モスリム」という言葉を聞くだけで怖くなる気持ちも分からなくもない。

3年前アメリカでもあった、似たような事件。
アメリカ女性と結婚したエジプト出身の父親が、2人の娘を殺害。
母親は結婚当時わずか15歳。被告人との間に3人の子供が出来た。
娘二人と息子一人。
子供の教育方針で考えがぶつかるのに時間は掛からなかった。
息子は無事にイスラム教徒として育ったものの、娘達は普通のどこにでも居るアメリカのティーネージャーとして育ち、明るく魅力的な彼女たちは学校でも人気があった。
モスリムではない異性と付き合う娘をコントロールしきれなくなった父親はこれも「家の名を汚した」として拳銃で撃ち殺したのだ。



モスリムの父親が10代の娘を殺害するケースは他にも何件もある。
今世代の若者、特に欧米で生まれ育った新世代モスリムは両親世代とは完全に感覚が違う。
「敵」に迎合した子供は我が子であっても敵なのだろう。
でもそれでは何故、敵国にわざわざ在住しているのだろう。

イスラム国では現在も家族やパートナーによって殺害される女性やカップルがかなりの数いるそうだ。
女性の場合は、夫に従わなかった、浮気をした、お見合い結婚に承諾しなかったなどの理由。男性の場合、同性愛者であることや不倫相手と逃亡しようとしたなどの理由があげられる。理由は何にしろ、家族・パートナーに恥をかかせるという事は生死の問題になり得るのだ。

「ストーニング」という風習がある。

風習というより、一種の死刑なのだが、集団で「犯罪者」に石をぶつけ続け、ゆっくりと激痛を与えながら苦しめ続けた挙句に殺すのだ。
この野蛮な死刑は最近国際的にも問題に取り上げられ、反対活動が大きくなってきているが、それが大問題になっている理由は、方法が野蛮なだけではないからだ。
女性の場合、無実の罪を着せられてこの方法で死刑になる事が頻繁にではないにせよ実はある。
最近ソマリアで死刑になった13歳の少女は3人の男にレイプされて、身体を汚したからという事で殺された。
被害者が犯罪者になるケース。
そして当のレイプ犯人は誰一人として逮捕されなかったのだ。

多くの場合ストーニングには父親も参加し、子供が居る場合はそれが男の子ならその子も死刑執行に参加、母親が血まみれで死ぬのを見せられるのだ。
また、犯罪が不倫の場合、写真等の物的証拠は必要がない。
証人が3人いれば犯罪は証明される。
つまりでっち上げる事は簡単というコトである。
男性は普通に浮気し、お金さえあれば何人でも妻を持てる国で、
今でもこういう事が繰り返されているのだ。

そういえば、カナダでの事件でも父親には第二夫人がいた。

2日前、The Stoning of Soraya M. という事実を基にした映画を見ていた。



若い女と結婚したい夫が、妻を消すために不倫の罪を着せる。彼女は大人しく夫に屈するタイプの女性ではない。意思が強い美しい女性。
そんな彼女に生活費を保証する代わりに臨時妻・愛人のポジションをオファーするムラー(牧師・坊主のようなもの)。実は詐欺師なのだが、その秘密を握る彼女の夫は、離婚するように彼女を説得してくれと要求する。
結局彼女を説得できなかったムラーは腹いせに彼女をストーニングで殺害する計画に加担する。映画としてはストーリーが余りに「悪い男達と虐げられる無実の女」と分かれてしまっていて、御伽噺の中の「魔女vs. 純粋で可憐な少女」のような感も無くも無かったが、そういう嘘のような事が現実に起こっているというショックと哀しさが完成度の物足りなさを充分に補っていた。

女性の立場はアフガニスタン、ソマリアやイランでは特に低い。デートも許されなければ、夫や父親に対して立ち向かう事も罪になりかねない。
自分を殺す事によってサバイバルしていくしかないのだ。
2004年にストーニングでの処刑を言い渡された19歳の精神薄弱者の女性は、8歳の時から母親に売春させられてきた。売春をしたのではなくさせられたのである。
その後繰り返しレイプを受け、9歳の時に母親になった。

「え?」
と思うかもしれないが、彼女は犯罪者なのだ。
売春宿で働き、レイプを受け、父親の分からない子供を産んだ事により「穢れた」という罪である。

幸い2006年にアムネスティー・インターナショナルの介入によって死刑は免れたが、国際メディアに浮き出てこないところでストーニングの風習は根強く続いているという。

もし、生まれる国や文化が違っていたら、ワタシ達の人生は大きく変わっていたのだろう。
自分の意思を持って、生きる事が許される。
そんな当たり前の事が
すばらしい事に感じられた。

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齢45になるベテランてんかん患者です。 お仕事はきちんとしながら オフはだらだらと生活してます。 仕事仲間には私が怠け者とはバレてません。 てんかん、っていう以外はまあ、普通。 つまんない冗談とかよく言ってます。

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ふぅみん:D

Author:ふぅみん:D
16歳の時にてんかん発病。
闘病歴24年。(な、長い!)
7年前、オーストラリアのメルボルンでソウルメイトと出会い、8ヶ月後に結婚。

性格:真面目な変人。オープンな性格。時々情緒不安定。
タイプ:エロオヤジ系。
煽てられると調子に乗る。

いつも、ありがとう。

折角ブログを覗きに来てくれる人が居るのに、
サボり癖のついている最近のワタシ。
だけど、結局戻ってくる。
どんなに長くサボっていても
その内にきっと必ず書きたくなるから。

ブログってそんなものなのかも知れない。
もう書き始めて何年になるんだろうか?

ブログと共に、
ワタシも歳をとり。
成長し。(?)
他の人のブログとつながる。

あ、あのヒト、どうしてるかな?
なんて、ワタシも覗きにいく。
毎日頑張って書いているヒト、
ぼちぼち頑張っているヒト、
さまざまだけど、
ああ、頑張っているんだな、って分かるだけで、
一日の終わりに、ワタシに元気をくれる。
ホントにありがとう。
そして、来てくれたヒト、ありがとう。

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